ロボット・ラボ卒業生で現在、香川県立坂出工業高等学校教員を勤める長尾 景虎さんをご紹介します。
ロボット・ラボ第1期生として、チーム「Moon」で世界大会に挑んだ長尾 景虎さん。現在は坂出工業高校で教員を務め、生徒たちとロボット相撲に取り組んでいます。
ロボット・ラボで過ごした「ごちゃまぜ」の時間が、今の教育の原点になっているといいます。
「遊戯王しに来ていた」と言われた第1期生
「第1期生でしたけど、技術的にはそんなに熱心じゃなかったです。『遊戯王しに来てた』なんて言われていました(笑)。」
長尾さんはロボット・ラボ時代を振り返って、こういいます。
「ほかのメンバーのようにバリバリやるタイプじゃなくて、Moonでの僕の役割は『雑用と作業、二人のメンタルケア』でした。」
「でも、こんなロボット・ラボでの日々が、今の私の原点だと思っています」
チームMoonについて
チームMoonは、当時3名で活動していたロボット・ラボ第1期生のロボットサッカーチームです。2012年の「ロボカップジュニアジャパンオープン尼崎 2012」サッカーチャレンジA ライトウェイトで準優勝し、同リーグの尼崎商工会議所会頭賞を受賞しました。
この実績を経て、同年6月にメキシコシティで開催されたロボカップ世界大会へ出場し、スーパーチーム競技で3位となりました。 得意分野も関わり方も違う3人が、それぞれの役割を持って世界に挑みました。

競技ロボットの技術開発の中心ではなくても、チームの中で自分にできる役割を見出し、担っていた長尾さん。その経験は、教員となった今の長尾さんにつながっています。
「ごちゃまぜ」の環境が今の教育に生きる

長尾さんは現在、香川県立坂出工業高校でロボット相撲を教えています。生徒一人ひとりと向き合うたび、ロボット・ラボでの日々を思い出すそうです。
「ロボラボでは、頑張っている子は寝ずに必死にずっとロボットを作っている。でも、そうでない子も混在している。その『ごちゃまぜ』の環境が良かったんだと思います。できない子の気持ちも分かるし、できる子のすごさも分かる。両方を知っているから、今の教育に生きていると思います」
技術が得意な子だけの場所ではなかったこと。それが、さまざまな生徒に向き合う今の力になっています。
母校の先生から届いたひと言
教員になるまでの道のりにも、長尾さんが大切にしている「人と向き合うこと」がありました。
「坂出工業で高校生活を過ごし、名古屋市の自動車大学校に入学しました。実は、整備コンクールで優勝したら卒業制作のリーダーを任せられるくらい、かなりの好成績で卒業したんです。整備士として香川に戻ってきて、就職1年目のときでした。母校から『教員になってくれんか』って。正直、他の会社からも声がかかり、待遇も別の会社の方が良かった。でも、高校時代に本気で向き合ってくれた先生のことを思い出して、『俺もそうなりたい』って思ったんです」
かつて先生が自分にしてくれたように、今度は自分が生徒と本気で向き合う。その思いが、長尾さんを教員の道へ進ませました。
一人で始めたロボット相撲。「勝てるわけない」から全日本大会3位へ

坂出工業高校でロボット相撲を始めたとき、長尾さんは一人でした。周囲からは、強豪校には勝てないと言われたそうです。
「最初は一人で始めて、周りからはバカにされました。『全国の強豪に勝つのは難しい』って。でも、ロボット・ラボで学んだ『改善』の精神があったんです。何度も何度も試行錯誤しました」
「プログラミングがダメなら本を買って勉強。基板が壊れたら設計し直す。ESP32とArduinoの本を買い込んで、電気は他校の先生に頭を下げて教えてもらって。基板は100枚以上作りました。失敗しては改善、また失敗しては改善の繰り返しです。給料も全部つぎ込んで(笑)」
その積み重ねが実を結び、坂出工業高校ものづくり技術部は、2024年の全日本ロボット相撲大会決勝大会・3kg級ラジコン型で3位に入賞しました。

まずは、自分が楽しそうにやる
長尾さんがまず大切にしているのは、教える側が楽しむことです。
「まず、楽しそうにやること。教える側が楽しくなかったら、生徒も興味を持たないと思うんです」
そして、もう一つ大切にしているのが「改善する力」です。
「今の子どもたちは『やったことない』『調べても分かりませんでした』って受動的になりがち。でも、調べた情報をもとに何かしら行動を起こしたのか、試してみたのか。そこが大事なんです」
「生徒が『そんなんできんやろ』って限界を作ろうとしても、目の前で必死に試行錯誤している姿を見せる。すると『なんか楽しそう』って思ってくれるんです」
e-とぴあ・かがわ ロボット・ラボで知った、楽しむことと、失敗しても改善を続けること。その姿勢は今、長尾さんから次の世代へ受け継がれています。
ロボラボで「どうしたらもっと強くなるか」
試行錯誤し続ける仲間の姿を見られたその環境が
今の私を作ってくれたと思っています。










長尾景虎(ながお かげとら)さん
1996年生まれ
2007年、e-とぴあ・かがわ ロボット・ラボ第一期生
2012年、サッカーロボットチーム「Moon」の一員としてのロボカップ世界大会(メキシコシティ)にジュニアサッカー日本代表として出場、スーパーチーム競技で3位
香川県立坂出工業高等学校卒業
名古屋市の自動車大学校卒業
香川に戻って整備士として就職の後、香川県立坂出工業高等学校教員となる