月刊マルータ、過去の巻頭特集から好評だったものを再度掲載するシリーズです。登場人物の所属、肩書きなどは取材当時のままとなっています。
第六管区海上保安本部 備讃瀬戸海上交通センター
青ノ山の中腹に見える白い塔。
標高約158m、地上約39mのこの建物が、海上保安庁の「備讃瀬戸海上交通センター(以下センター)」という施設と知る人は少ないかもしれません。

実は全国で7ヶ所しかない海上交通センターのひとつなのです。
1987(昭和62)年7月、瀬戸大橋開通の約9ヶ月前にセンターは運用を開始しました。
以前から海の交通の難所であった備讃海域。船の安全に必要な情報提供・航路管制などを行い、船の事故を防ぐために開設されました。

センターの役割は言わば「海上の交通整理」。
備讃瀬戸では今治造船で建造されるような全長400mの貨物船と小型の漁船が同じ海域を行き交います。
その数なんと1日5百隻!その膨大な数の船を全て見ながら安全確保を働きかけています。

例えば大型船やタンカーが狭い海域で出会わないよう交通整理したり、潜水器漁など操業中の漁船に近づく船には危険を知らせ、船どうしが交差するコースを走っていれば直接無線で呼びかけ注意を促します。
これを実現しているのがレーダー、監視カメラ、船舶自動識別装置(AIS)などの専門機材です。

運用管制室の中に入ると真っ先に目につくのが管制卓です。
この管制卓を使用し、無線で海上の船と会話しています。
備讃海域を4つのエリアに分けて、それぞれの管制卓で監視し、危険があれば実際に航行している船と交信します。
こうして24時間365日、休みなく交通整理をしているのです。

上図のようにセンターの守備範囲は香川県と岡山県に挟まれた東西約80㎞の範囲、対岸まで全部です。
上の◯部分に海の交差点があり、全体に航路の幅が狭く、水深も浅く、濃霧も発生するという、まさに難所です。
海の交通の安全を守る任務
岩橋哲也所長(取材時)に伺いました。
「当センターの任務はこの大変混み合う備讃瀬戸海域の【海の交通の安全を守る】ことです。そして事故を防ぐことは、タンカーからの重油流出などを防止し【海の自然を守る】こと、【尊い人命を守る】ことにつながります。」
「衣類や雑貨、食料品や燃料などのほとんどは海外から船で運ばれてきます。これらの船の事故がないよう交通整理することは実は『みんなの生活を守る』ことに深くつながっています。」


船の往来の姿から世相を感じることもあるそうです。
「3・11の後は原油船が多く通るようになりましたし、(原発稼働が止まり、火力発電が増加した影響と思われる)最近は貨物船が大型化してその影響か隻数が減りました。またブリッジに外国人乗組員が増えて通信を英語で行うケースも増えました。」
海上保安本部へ職場体験に来てみませんか?
私たちの目の前の海は生活の大動脈で、いつも目にする白い建物がその安全を守り続けています。
この現場を実際に職場体験できるワークショップや一般公開も実施されています(取材時)。
興味がある方はぜひ詳細内容を確認してワークショップに参加してみてください。


お問い合わせ先
第六管区海上保安本部
備讃瀬戸海上交通センター宇多津町青の山 3810-2
(再掲:月刊マルータ2019年4月号巻頭特集)








