2022.05.24 おすすめ記事 【100年前と比べてみた】戦前の絵葉書で見る中津万象園の今と昔

中津万象園、広報のY口です。以前4月号の当コラムで少しだけ大正時代の万象園画像を紹介しましたが、戦前の絵葉書からも、約100年前の万象園内の様子を垣間見ることができます。今回は、現在の万象園の写真とともに時代をさかのぼってみましょう。

魚楽亭

まずは本誌で紹介したかつての魚楽亭と、現在の様子。

変わっていないのは基礎の石組みくらいですね。観月橋も架かってなければ、奥に見える茅葺き屋根の建物や晴嵐の島の石灯籠も、現在は無くなっています。魚楽亭そのものも、当時は水上に張り出すように高床式で建っていますが、現在は島の上にあります。

この母屋そっくりの茅葺き屋根の建物がくせ者で、画像を見たお庭さんのボス・T口さんも「魚楽亭にしては……母屋の場所がおかしいのー」と頭を悩ませていました。

雁の島

その謎を解く鍵となるのが、この絵葉書です。現在の画像も並べてみます。

いずれも邀月橋の北側から雁の島を写していますが、現在の藤棚あたりに、かつて茅葺き屋根の建物があったことが分かります。

魚楽亭を写した絵葉書の奥に建っているのも、位置的にこの建物でしょう。この建物がどうなってしまったのかは、また違う機会に。

兜石

続いてはこちら。雪の島から兜石越しに撮った邀月橋です。

兜石以外は、すっかり様子が変わってしまいました。なんかアヒルっぽいのもおるし(笑)

邀月橋も、昔はもっとなだらかな反り具合だったことが分かります。

兜石がある一帯は、現在では立ち入り禁止区域になっていますので、対岸の藤棚から見ることができるだけで、この角度から見ることはできません。ほとんど存在を忘れられています。絵葉書になったくらいですので、かつては奇岩として景勝地の一つだったのでしょう。傍にあずまやもありますし。

ちなみに、現在園内で飼っているアイガモがねぐらにしているのも、この近くの岩の上です。

観潮楼

丸亀市指定の文化財で、現存国内最古の煎茶席である観潮楼です。

鐘の島にある弁財天への石段を下りた船着き場から撮りました。(こちらも現在は船着き場として機能していないため、立ち入り禁止です。)この高床式の建物が煎茶席だと判明したのはつい最近のことですので、当時は変わった茶室くらいに思われていたのでしょうか。それとも、煎茶席であることが当たり前すぎて記録に残らなかったのでしょうか。

観潮楼の西奥の、現在山茶花ロードになっている辺りにも、何やら建物が点在していますね。

讃岐富士

最後は、その山茶花ロードから撮った讃岐富士です。

今では万象園本館の奥に先っちょがチョロっと見える程度の讃岐富士ですが、かつては遮るものも無く、堂々とした姿を見せていました。100年で周囲の松も成長し、右側の観潮楼も隠していますが、ところどころに以前とほぼ変わらぬ姿形の松があるのも面白いですね。

まとめ

いかがだったでしょうか?

画像を比較して分かったことは、建物は減ったが松やその他の植栽と橋は増えた、ということでしょうか。松も海側の中津球場周辺にあったものはごっそり無くなっていますので、総数では減っているかも知れません。

現在では当たり前の風景も、100年前は違っていたし、きっと100年後もまるで違うはずです。

その時の流れの中で、中津万象園のような文化財は、時代に合った方法で維持管理していくことが必要とされます。特に、マツクイムシやシロアリの被害で各地の松林が消えている今、その脅威から園内にある1000本以上の松を守るには莫大な費用がかかります。当園が公営化を目指しているのも、民間運営である以上はどこかで収益化して維持管理費を捻出しなければなりませんが、コロナ禍などでそれが困難になっているからに他なりません。

公営化の願いが叶うまで、私たちとともに「地域の宝を100年後の未来に残したい」という思いにご賛同いただける方は、是非賛助会員へのご加入をお願いいたします。実際に賛助会員になられている皆さんが、万象園でどのような楽しみ方をされているのかは、またこちらのコラムでご紹介します。

【中の人が語る、万象園こぼれ話シリーズ】

① 中の人が語る!公式HPにも載っていない中津万象園の歴史。

② 公式HPにも載っていない中津万象園・丸亀美術館のヒミツ。

③ 大正時代はドイツ人が野球をしていた?100年前の中津万象園

④ サツキとツツジの見分け方って?中津万象園の庭師さんに聞くサツキの話

⑤ 【100年前と比べてみた】戦前の絵葉書で見る中津万象園の今と昔

中津万象園では賛助会員を募集中です。

丸亀市の貴重な文化財である「中津万象園・丸亀美術館 」。歴代藩主たちが約100年の歳月をかけて造り上げた大名庭園をいっしょに守っていきませんか?「支援したい!」という方には当園のファンクラブ的な組織である丸亀京極万象園賛助会へのご入会をお願いしています。応援、どうぞよろしくお願いします。

丸亀京極万象園賛助会
詳しくはこちら

中津万象園・丸亀美術館 概要

中津万象園・丸亀美術館
〒763-0054香川県丸亀市中津町25-1
http://www.bansyouen.com/

中津万象園が表紙!
月刊マルータ2021年9月号

この記事を書いた人

WEBマルータ編集室
WEBマルータ編集室
月刊マルータ・丸亀・宇多津に関するニュースをお届けします!