2022.02.27 おすすめ記事 中の人が語る!公式HPにも載っていない中津万象園・丸亀美術館のヒミツ。

中津万象園 広報のY口です。

さて、2022年3月号のマルータ本誌でも簡単に紹介しましたが、中津万象園内の丸亀美術館ではミレーやコローなど、フランス・バルビゾン派の貴重な絵画をコレクションしています。実はこうした収蔵品以外にも、丸亀美術館には数々の特徴があります。(例によって公式HPには載っていません。ここに書くなら公式HPにも載せなさいよという話なんですがね。)

緻密な計算のもとで建てられた丸亀美術館

まずは外観から。丸亀美術館は、大名庭園の景観に合うよう緻密な計算のもとで建てられています。建物は平屋建てで自然との融合を図り、屋根は棟を雁行させて高低をつけ、リズム感を出しています。屋根面には1%の起(むく)りを付けて棟を低く抑え極限まで単純化し、装飾要素を避けた構造になっています。建築時に邀月橋から美術館が美しく見えるよう、数センチ単位で調整したという逸話も。

美術館から八景池に向かって張り出した観月台は梁のない構造のため、どうやって屋根を支えているのか不思議に思う人も。実際に建設に携わった方に聞くと、屋根に鉄骨が入っているのだとか。晴れた日には観月台のベンチに座って天井を見上げると、八景池の水紋がゆらゆらと反射し、とても風流な趣を楽しむことができます。これもまた、自然が織りなすアートと言えましょう。

美術作品を引き立てる館内のこだわり

外からは低く見える美術館ですが、館内に入ると意外と天井が高いことに驚きます。そして、当館が特にこだわっているのは無駄を省いた美しさ。それは展示方法にも現れています。一般的な美術館では、ピクチャーレールで作品を高所から吊り下げて展示しますが、当館では壁面に埋め込んだボルトにワイヤーを引っ掛けて展示しています。こうすることでワイヤーが作品の裏に隠れるため、スッキリした展示ができる利点があります。

一方で、展示に動きを付けづらく表現の幅が狭まるのが短所ではありますが、上の画像のように板などを駆使してある程度はどうにかすることもできます。

館内にある桜材を使ったベンチ。大人でもゆったりと座れるベンチのほぞ穴には、京極家の馬印である「立鼓」が。丸亀市の旧市章にも使われていましたので、懐かしく思う人もいることでしょう。このベンチ、木とは思えない重さで、先日うっかり持ち上げてヘルニアが悪化しました。

最後はこの、QRコードで開く自動ドア。全体的に近代化の波に乗り遅れている当館ですが、ここだけハイテクなのが笑いどころです。売店でQRコード決済はできませんが、美術館の自動ドアは開きます。なので、皆さん「なんでやねん」とごく自然にツッコミを入れています(笑)

そのほか、「開かずの欄間窓」や「時代を先取りすぎた床下換気システム」などもありますが、それらは実際に見にお越しください(運良く私がいればご案内いたします)。そして、自動ドアにツッコミを入れてってください!

↑開かずの欄間窓

【中の人が語る、万象園こぼれ話シリーズ】

① 中の人が語る!公式HPにも載っていない中津万象園の歴史。

② 公式HPにも載っていない中津万象園・丸亀美術館のヒミツ。

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中津万象園・丸亀美術館 概要

中津万象園・丸亀美術館
〒763-0054香川県丸亀市中津町25-1
http://www.bansyouen.com/

中津万象園が表紙!
月刊マルータ2021年9月号

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WEBマルータ編集室
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