2024.04.10
コラム
谷頭和希のマルータエリア商業見聞録〜第2回
こんにちは。全国のチェーンストアについて、ビジネスサイトなどでコラムを執筆しているライターの谷頭和希です。最近はYouTubeでディズニーランドの中で流れているBGMを聞くのにハマっています。あれを聞くと、ディズニーランドに行ったみたいな気分になるんで楽しいんですよね。
前回は、僕が久々にマルータエリアにやってきて思った「商業施設が変わりまくっている!」という驚きから、「イオンタウン宇多津」の歴史について見ていきました。
宇多津ビブレとイオンタウン宇多津の形が違う?
ところで読者の中で「宇多津ビブレ」の姿を覚えている人はいるでしょうか?
さらにちょっと思い出してみてください。「宇多津ビブレ」と「イオンタウン宇多津」、見た目で違うところがありませんか?
実は、イオンタウン宇多津は真ん中に大きな駐車場があるんです。一方、宇多津ビブレは、大きな建物が一個あり、そこに駐車場も入っていました。
▲イオンタウン宇多津
▲ビブレ宇多津
実はこれ、オープンモールとエンクローズドモールといって、ショッピングモールの形として明確に異なるものです。
オープンモールは、イオンタウン宇多津のように、真ん中に駐車場があってその周りにある店に直接行けるような形のモールのことで、エンクローズドモールは宇多津ビブレのように、駐車場も含めてすべての施設が一つの建物の中に入っているようなモールの形です。
建物の違いは、行く目的の違いを表す
でも、どうしてこのように形が違うのでしょう?
実はそれは、マルータエリアの経済圏を如実に反映させているからです。
イオンタウン宇多津の形であるオープンモールは「近隣型ショッピングセンター」というタイプのショッピングモールで取り入れられることが多く、比較的近隣に住む人々が、生活必需品を買いに来るように作られた設計です。欲しいものがすぐに手に入れられるように、真ん中に駐車場を置いて目当ての店にすぐ行けるようにしているわけです。
一方でエンクローズドモールは、どちらかというと、もっと娯楽に寄った楽しみ方が求められています。モールの中をぐるぐる歩いてお店を探すことになるので、生活必需品だけ欲しい人にはあまり向いてないんですね。週末に家族で遊びに行く場所というイメージです。
経済圏の変化が、建物の形に現れる
で、そんなエンクローズドモールであるビブレの経営があまり良くなくなった。なぜかというと、綾川にもっと大きなエンクローズドモールであるイオンモールが誕生したからではないでしょうか。遊びに行くんだったら、ちょっと遠くても綾川まで行く、というマルータエリアの住民の方も多いと思います。そのとき、ビブレはコンテンツ力で圧倒的に負けてしまったわけです。
そこで、ビブレを運営していたイオンは方針転換。楽しむためのモールは綾川イオンでいいから、この、ビブレはもっと近隣の人が日常的に使う場所にしよう!、となったのではないでしょうか。ということで、イオンタウン宇多津には、マルナカを大きくテナントとして入れて(使っている人も多いかもしれません)、普段使いとしての用途を高めた、なんて想像ができるわけです。
マルータエリアの住民の方でも、普段の買い物はイオンタウン宇多津で、週末に家族で行くのはイオンモール綾川で、という人も多いのではないでしょうか。
ビブレ宇多津からイオンタウン宇多津の建物の変化は、そうした経済圏の変化を反映しているのです。経済の成り立ちが、商業施設の形を決めている側面もあるわけですね。
続きは近日中に公開します。お楽しみに。
この記事を書いた人
-
-
ライター・批評家。1997年生まれ。チェーンストアやテーマパークなど、一見平板に見える現代の都市空間について、独自の切り口で語る。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)など。
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宇多津ビブレとイオンタウン宇多津の形が違う?
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さらにちょっと思い出してみてください。「宇多津ビブレ」と「イオンタウン宇多津」、見た目で違うところがありませんか?
実は、イオンタウン宇多津は真ん中に大きな駐車場があるんです。一方、宇多津ビブレは、大きな建物が一個あり、そこに駐車場も入っていました。
▲イオンタウン宇多津
▲ビブレ宇多津
実はこれ、オープンモールとエンクローズドモールといって、ショッピングモールの形として明確に異なるものです。
オープンモールは、イオンタウン宇多津のように、真ん中に駐車場があってその周りにある店に直接行けるような形のモールのことで、エンクローズドモールは宇多津ビブレのように、駐車場も含めてすべての施設が一つの建物の中に入っているようなモールの形です。
建物の違いは、行く目的の違いを表す
でも、どうしてこのように形が違うのでしょう?
実はそれは、マルータエリアの経済圏を如実に反映させているからです。
イオンタウン宇多津の形であるオープンモールは「近隣型ショッピングセンター」というタイプのショッピングモールで取り入れられることが多く、比較的近隣に住む人々が、生活必需品を買いに来るように作られた設計です。欲しいものがすぐに手に入れられるように、真ん中に駐車場を置いて目当ての店にすぐ行けるようにしているわけです。
一方でエンクローズドモールは、どちらかというと、もっと娯楽に寄った楽しみ方が求められています。モールの中をぐるぐる歩いてお店を探すことになるので、生活必需品だけ欲しい人にはあまり向いてないんですね。週末に家族で遊びに行く場所というイメージです。
経済圏の変化が、建物の形に現れる
で、そんなエンクローズドモールであるビブレの経営があまり良くなくなった。なぜかというと、綾川にもっと大きなエンクローズドモールであるイオンモールが誕生したからではないでしょうか。遊びに行くんだったら、ちょっと遠くても綾川まで行く、というマルータエリアの住民の方も多いと思います。そのとき、ビブレはコンテンツ力で圧倒的に負けてしまったわけです。
そこで、ビブレを運営していたイオンは方針転換。楽しむためのモールは綾川イオンでいいから、この、ビブレはもっと近隣の人が日常的に使う場所にしよう!、となったのではないでしょうか。ということで、イオンタウン宇多津には、マルナカを大きくテナントとして入れて(使っている人も多いかもしれません)、普段使いとしての用途を高めた、なんて想像ができるわけです。
マルータエリアの住民の方でも、普段の買い物はイオンタウン宇多津で、週末に家族で行くのはイオンモール綾川で、という人も多いのではないでしょうか。
ビブレ宇多津からイオンタウン宇多津の建物の変化は、そうした経済圏の変化を反映しているのです。経済の成り立ちが、商業施設の形を決めている側面もあるわけですね。
続きは近日中に公開します。お楽しみに。
この記事を書いた人
- ライター・批評家。1997年生まれ。チェーンストアやテーマパークなど、一見平板に見える現代の都市空間について、独自の切り口で語る。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)など。
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