2024.03.20 コラム 本島汽船のフェリーに乗る

月刊マルータアーカイブス#01

生活密着なのに非日常
本島汽船のフェリーに乗る

初めての本島上陸で、船の乗り方すら覚束ない編集室・まもが
本島汽船のフェリー「ほんじま丸」をレポートします

操舵室からの展望。瀬戸大橋の雄大な姿が常に視界に入る。海域は大型〜小型船、操業中の漁船、プレジャーボートなど国内有数の過密エリアのため常に緊張が続く

「船に乗る」が非日常。その音・匂い、目に映る景色とは

 7月のある金曜日。朝7時過ぎから港に人が集まっています。その格好は普段着から事務服までさまざま。
 ここは、丸亀と本島(と牛島)を結ぶ本島汽船の乗り場です。まもも切符を買ってしばらく待機します。7時40分発のフェリーのゲートがひらくと、出勤などで本島へ乗船する人たちが慣れた様子で乗り始めました。
 船に近づいた途端、潮の香りと共にエンジンの重低音が耳を塞ぎます。そういえば子どもの頃に乗った船はこんな匂いでこんな音だった、としばらくノスタルジックな気分に浸ります。
 天気は快晴。デッキに上がると、青い空とキラキラと輝く海が目に飛び込んできました。船はゆっくりと揺れています。
 五感で楽しめるこのシチュエーションでもう十分スペシャル。対して、乗客の人たちは客室へ入ってのんびりとおしゃべりする人、本を読む人と思い思いに過ごしています。彼らにとって「船に乗ること」は日常の一部。本島汽船は、人々の「日常の足」という大切な役目を担っています。

ノスタルジックな船、そして現状

 丸亀市では、市街地と本島、牛島、広島、手島、小手島を結ぶ離島航路が日常生活に欠かせない足となっています。
 本島汽船はその離島航路の一つ。島に住む人が減っている中、島民の日常の足として奮闘しています。
フェリーは時速24キロで30分かけて本島へと向かいます。操縦室には航海士が2人、交替で操縦しているそうです。
 船長の岡さんはなんと26歳。69歳の元船長・合田さんと交互に船を操縦します。乗組員はほかに機関長の吉田さんが28歳、機関士の安部さんが27歳と若い人が多いのに驚きました。しかもこの日船に乗っていたのは、少数精鋭の総員4名。
 乗組員は全員で6人だそうで、ぎりぎりの人数でがんばっています。

 丸亀市に住んでいても本島に行ったことがない、という人は多いといいます。
 丸亀港は丸亀駅から歩いて7分程度。そこから約30分で本島に着きます。離島航路は生活の足とはいうものの、たくさんの人に利用してもらってこその価値。「ちょっとそこまで」なのに、日常を離れることができます。きっと子どもにとっては印象深い体験になり、大人にとっては羽を休める時間になります。丸亀駅から40分、あなたもほんじま丸に乗り、身近な非日常を体験してみませんか?

探検
自動車甲板の下にある別世界。機関室を覗かせてもらいました

車が乗る緑色の甲板の下にある船の動力・発電をするエンジンと、そのエンジンを管理する管制室。まるで工場みたいに大きくて明るい空間が足下にあったことにびっくりです。毎日利用している人もまず見ることはないエリアです。

船底の機関管制室の様子。たくさん並ぶ計器をチェックしながら安全にエンジンを運用しているそうです

【ほんじま丸】 進水年月:平成18年10月、造船者:本瓦造船株式会社(広島県福山市)、総トン数:398t、全長:49.90m、型幅:10.50m、型深さ:3.69m、機関:ディーゼル2機、機関出力:1,470kw(1,999PS)、航海速力13.00ノット、旅客等定員240名、車両数:大型車5台乗用車10台

本島汽船
丸亀港旅客船乗り場
丸亀市福島町127-16
0877-22-2782

この記事を書いた人

まも
まも
月刊マルータ編集室 編集担当。5歳娘と14歳息子をもつ50代の母親で、大のうどん好き。現在ダイエット中。
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