2024.06.30 コラム 洪水対策の切り札を見る・とある小さな川の大きな防災工事

【月刊マルータ2023年8月号特別取材記事の再掲】

梅雨があけても台風などの大雨が気になる時期です。「線状降水帯」「大雨特別警報」「警戒レベル」といった今迄にない緊張感のある言葉が並びます。そこで今回は、地元の小河川の身近な防災工事のお話です。

赤山川って知ってますか?
 赤山川は丸亀市飯野町を流れている短くて小さな川です。飯山町西坂元などをクネクネ流れる水路が合わさって、飯野山の麓、高松自動車道の高架付近から赤山川となり、最後に幅が広がって一直線に土器川に注ぎます。そして土器川の注ぎ口には大きな水門、「赤山川樋門(ひもん)」があります。国道11号線から土器川土手の850mほど南、S字カーブのところです。

 この、現在の赤山川の最終直線部分は昭和60年頃から平成10年頃にかけて大幅に拡幅された部分だったのです。

この赤山川から分岐した地図の中の青い破線のところを通っているのが灌漑用の用水路です。本当に細い水路ですが実はこれが平成16年(2004年)の台風23号の豪雨の時増水、付近が冠水してしまいました。


 このような危険を少しでも少なくするために長年かけて準備されていたのが、先ほどの赤山川樋門に至る直線部分などだったのです。工事は現在も続いており、平成31年3月の堰の完成を経て、赤山川の起点を目指して拡幅工事を進めています。

 防災の肝となる堰の部分を見てみます。飯野山のふもと、高松自動車道の高架下です。そうですね、飯野街道が高松自動車道をくぐる交差点の近くです。ちょっと覗いてみると…  なるほど大雨の時には広い方の堰を倒してそちらに水を流し、細い方の水門を閉めて水流を遮断することができる仕組みです。

【追記】2024年5月28日の大雨の際にこの堰が機能している動画を記録しました


堰が大量の水を直線に向けて「仕分け」している様子がわかります


住宅地に向けた用水路には水がほとんど流れていません


実際に過去に氾濫した地域の用水路も堰ができてから静か


 一連の工事について香川県中讃土木事務所河川港湾課の金岡さんに聞いてみました。
「中讃土木事務所河川港湾課では河川や水路の氾濫などの被害を軽減するための工事を扱っています。読者の皆さんの周囲でもこうした工事が行われることもあるかと思います。ご理解ご協力のほどどうぞよろしくお願いいたします。」

 現在の丸亀市発行のハザードマップには、平成16年(2004年)の台風23号の豪雨での冠水が記録されています。地図上の避難区域Cという文字の下側、黒い線でシマシマが描かれている楕円形の部分、です。

 しかし現在、ここは上記の工事の効果で大量の水が来ないしくみが作られていて、物理的に冠水の確率が非常に低く抑えられています。

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 同地域で長年にわたって「うどん飯野屋」を営まれている店主の宮武さんに話を聞いてみました。「なにか対策をしてくれているのは聞いていたけど、こういう工事とは知らなかった。昔には消毒に来てもらうような洪水があったけど、確かにここ何年かはあふれていない。こういう防災対策はありがたいこと。」とのことでした。

 時々見かける河川や土手、橋などの工事。この中には災害を未然に防ぐ、とても重要なものも含まれていることがよくわかりました。こうした事にこれから私たちもきちんと注目していきたいと思います。

この記事を書いた人

くす
くす
月刊マルータ発行人。未年、動物占い「頼られると嬉しいひつじ」。だが実際は頼りない。
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