2021.03.05
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青ノ山の白い塔が備讃瀬戸を守る 備讃瀬戸海上交通センター【再掲】
月刊マルータ、過去の巻頭特集から好評だったものを再度掲載するシリーズです。登場人物の所属、肩書きなどは取材当時のままとなっています。
第六管区海上保安本部 備讃瀬戸海上交通センター
青ノ山の中腹に見える白い塔。標高約158m、地上約39mのこの建物が、海上保安庁の「備讃瀬戸海上交通センター(以下センター)」という施設と知る人は少ないかもしれません。実は全国で7ヶ所しかない海上交通センターのひとつなのです。
1987(昭和62)年7月、瀬戸大橋開通の約9ヶ月前にセンターは運用を開始しました。以前から海の交通の難所であった備讃海域。船の安全に必要な情報提供・航路管制などを行い、船の事故を防ぐために開設されました。
センターの役割は言わば「海上の交通整理」。備讃瀬戸では今治造船で建造されるような全長400mの貨物船と小型の漁船が同じ海域を行き交います。その数なんと1日5百隻!その膨大な数の船を全て見ながら安全確保を働きかけています。
レーダー映像や無線を送受信する装置が集まる機械室。平山浩次長(取材時)と
例えば大型船やタンカーが狭い海域で出会わないよう交通整理したり、潜水器漁など操業中の漁船に近づく船には危険を知らせ、船どうしが交差するコースを走っていれば直接無線で呼びかけ注意を促します。
これを実現しているのがレーダー、監視カメラ、船舶自動識別装置(AIS)などの専門機材です。
運用管制官の山本隆司さん(取材時)は小豆島出身。父親が航海士のため、幼い頃から「海保は海の安全を守るところ」と知っていた。高校卒業と同時に海上保安学校に入学、海上保安本部などを経て、昨年4月からセンター管制官に配属
運用管制室の中に入ると真っ先に目につくのが管制卓です。この管制卓を使用し、無線で海上の船と会話しています。備讃海域を4つのエリアに分けて、それぞれの管制卓で監視し、危険があれば実際に航行している船と交信します。こうして24時間365日、休みなく交通整理をしているのです。
上図のようにセンターの守備範囲は香川県と岡山県に挟まれた東西約80㎞の範囲、対岸まで全部です。上の◯部分に海の交差点があり、全体に航路の幅が狭く、水深も浅く、濃霧も発生するという、まさに難所です。
海の交通の安全を守る任務
岩橋哲也所長(取材時)に伺いました。
「当センターの任務はこの大変混み合う備讃瀬戸海域の【海の交通の安全を守る】ことです。そして事故を防ぐことは、タンカーからの重油流出などを防止し【海の自然を守る】こと、【尊い人命を守る】ことにつながります。」
「衣類や雑貨、食料品や燃料などのほとんどは海外から船で運ばれてきます。これらの船の事故がないよう交通整理することは実は『みんなの生活を守る』ことに深くつながっています。」
管制室の全景。山本さんが座っている右奥がエリア別担当、手前のデスクが総合的な判断をするチームリーダーの席
24時間365日稼働のハードワーク。写真はとあるシフト時のメンバーのみなさん。左端が岩橋哲也所長(取材時)
船の往来の姿から世相を感じることもあるそうです。
「3・11の後は原油船が多く通るようになりましたし、(原発稼働が止まり、火力発電が増加した影響と思われる)最近は貨物船が大型化してその影響か隻数が減りました。またブリッジに外国人乗組員が増えて通信を英語で行うケースも増えました。」
海上保安本部へ職場体験に来てみませんか?
私たちの目の前の海は生活の大動脈で、いつも目にする白い建物がその安全を守り続けています。この現場を実際に職場体験できるワークショップや一般公開も実施されています(取材時)。興味がある方はぜひ詳細内容を確認してワークショップに参加してみてください。
地域との連携を広げて職員のはげみにもなることを目指して広報活動を積極的に展開。2019年3月に初めて「うたづの町家とおひなさん」に出展。職員作成のオリジナル雛人形や平山次長(取材時)が描いた宇多津の街並みの鉛筆画などを展示
マスコットのうみまるくん
お問い合わせ先
第六管区海上保安本部 備讃瀬戸海上交通センター
宇多津町青の山 3810-2
www6.kaiho.mlit.go.jp/bisan/
(再掲:月刊マルータ2019年4月号巻頭特集)
この記事を書いた人
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月刊マルータ発行人。未年、動物占い「頼られると嬉しいひつじ」。だが実際は頼りない。
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1987(昭和62)年7月、瀬戸大橋開通の約9ヶ月前にセンターは運用を開始しました。以前から海の交通の難所であった備讃海域。船の安全に必要な情報提供・航路管制などを行い、船の事故を防ぐために開設されました。
センターの役割は言わば「海上の交通整理」。備讃瀬戸では今治造船で建造されるような全長400mの貨物船と小型の漁船が同じ海域を行き交います。その数なんと1日5百隻!その膨大な数の船を全て見ながら安全確保を働きかけています。
レーダー映像や無線を送受信する装置が集まる機械室。平山浩次長(取材時)と
例えば大型船やタンカーが狭い海域で出会わないよう交通整理したり、潜水器漁など操業中の漁船に近づく船には危険を知らせ、船どうしが交差するコースを走っていれば直接無線で呼びかけ注意を促します。
これを実現しているのがレーダー、監視カメラ、船舶自動識別装置(AIS)などの専門機材です。
運用管制官の山本隆司さん(取材時)は小豆島出身。父親が航海士のため、幼い頃から「海保は海の安全を守るところ」と知っていた。高校卒業と同時に海上保安学校に入学、海上保安本部などを経て、昨年4月からセンター管制官に配属
運用管制室の中に入ると真っ先に目につくのが管制卓です。この管制卓を使用し、無線で海上の船と会話しています。備讃海域を4つのエリアに分けて、それぞれの管制卓で監視し、危険があれば実際に航行している船と交信します。こうして24時間365日、休みなく交通整理をしているのです。
上図のようにセンターの守備範囲は香川県と岡山県に挟まれた東西約80㎞の範囲、対岸まで全部です。上の◯部分に海の交差点があり、全体に航路の幅が狭く、水深も浅く、濃霧も発生するという、まさに難所です。
海の交通の安全を守る任務
岩橋哲也所長(取材時)に伺いました。
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「衣類や雑貨、食料品や燃料などのほとんどは海外から船で運ばれてきます。これらの船の事故がないよう交通整理することは実は『みんなの生活を守る』ことに深くつながっています。」
管制室の全景。山本さんが座っている右奥がエリア別担当、手前のデスクが総合的な判断をするチームリーダーの席
24時間365日稼働のハードワーク。写真はとあるシフト時のメンバーのみなさん。左端が岩橋哲也所長(取材時)
船の往来の姿から世相を感じることもあるそうです。
「3・11の後は原油船が多く通るようになりましたし、(原発稼働が止まり、火力発電が増加した影響と思われる)最近は貨物船が大型化してその影響か隻数が減りました。またブリッジに外国人乗組員が増えて通信を英語で行うケースも増えました。」
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第六管区海上保安本部 備讃瀬戸海上交通センター
宇多津町青の山 3810-2
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