2025.12.20 コラム 【再掲】大倉工業

 2025年5月号の巻頭特集「大倉工業・地元の世界企業をもっと知る」をこちらにアップします。

 大倉工業さんといえば、地元でその名を聞いたことがない人はいないと言ってもいい、丸亀を代表する企業です。でも「じゃぁそれでは何をしている会社ですか?」と聞かれてちゃんと答えられる人はごく少数ではないでしょうか。今回はその大倉工業さんのどんなところがすごいのか、読者の皆さんと共有する巻頭特集にしました。

 読んでいただくとわかるのですが大倉工業さん、実は世界をリードするすごい仕事をしている会社さんです。地元に優秀な世界企業がある、というのはすごく誇らしく感じます。そして色んな企業が実はどんな会社なのかを知る、というのはとても楽しいことです。その楽しさを読んだみなさんに感じていただけたらなぁという思いが行間にこっそり入っています。今月もすみずみまで読んでくださいね!

以下は巻頭特集(再掲)

大倉工業~地元の世界企業を、もっと知る~

大倉工業は、丸亀市中津町に本社を置く東証プライム上場企業です。ほとんどの皆さんはこの社名をご存知と思います。でも大倉工業は何をする会社なのか、意外と知らない人も多いのではないでしょうか。今回はそんな大倉工業に注目していきます。

大倉工業株式会社代表取締役社長執行役員
福田英司氏

全てはこの思いから
「従業員を守り、社会に役立つ」

大倉工業株式会社は、第二次世界大戦後、旧倉敷飛行機高松製作所が解散した時、当時工務課長だった創業者の松田正二氏が「部下とその家族を守るため」「戦争で家を失った人々に必要な住宅を提供したい」という思いで、「四国住宅株式会社」を設立したのが始まりです。 住宅事業は、製材や木材販売から現在の建材事業に発展しました。また同時期に今のもう一つの柱、合成樹脂事業の元となるビニロン販売事業を始めます。社名も事業の変化にあわせ「四国実業株式会社」となっていました。

昭和30年、松田正二氏は10年間勤めた「倉敷紡績」の社長であった大原総一郎氏※1の名前から「大」の文字、倉敷紡績から倉の字をもらい、「大倉工業株式会社」と改称しました。 そして今日、「合成樹脂事業」「新規材料事業」「建材事業」「その他関連事業」を中心に、グループ連結売上約811億円、従業員約1900人に成長。そして「従業員を守り、社会に役立つ」という創業の精神は今も変わらず大倉工業グループの中に生き続けています。

福田英司社長にきく
大倉工業グループの未来

今回は大倉工業グループの今と未来について、大倉工業株式会社の福田英司社長にお聞きしました。

編集室 御社は創業から今日まで、世の中が求めているものを提供されてきたことがわかりました。

福田社長 創業当時は市民の皆さんが本当に必要とする住宅関連からスタートし、その後も時代が求めるものに色々とチャレンジしました。時には失敗をしながらも、そんな挑戦が今の大倉工業グループの事業に繋がっています。

編集室 社会が求めるものを試行錯誤しながら高い技と品質管理で事業を育てているんですね。

福田社長 これからも我々はより難しい課題の解決にチャレンジしていきます。例えばグループ会社オー・ル・エス有限会社では、有ELディスプレイに使う高品質のフィルムを作っています。最新のスマートフォンにも使われる、まさに世界最先端の技術です。

編集室 素材の世界は情報電子業界以外でも色々な可能性がありそうですね。

福田社長 実はグループ全体の売上の大半は安定事業、建材や日用品、食品飲料関連です。住宅や家具の化粧板、食品包装やごみ袋など、皆さんのそばにあるものです。このベース事業もいま世界中で求められている、もっと環境に優しいものに改良して、ずっと世の中に役立つ事業にすることも大切です。さらにライフサイエンス、ライフヘルスケア分野などはデジタル分野の次に成長する分野になる可能性があります。

編集室 ライフサイエンス、ライフヘルスケア分野とはどんなイメージでしょうか?

福田社長 当社のフィルム加工技術を医療・医薬の世界で役に立てて頂くことです。例えば再生医療で細胞の培養に使う容器、今までは作業切替えの時に容器をよく洗う必要がありました。でも我々のプラスチックフィルムのバッグは1回使い切りで洗う必要がありません。効率がいい上に安全なんです。

また今は医師がロボットを使って手術する時代になってきましたが、術後にはこのロボットの洗浄が必要でした。当社が作るロボット用フィルムは術後に全部貼り替えることで作業をぐっと減らせます。医療現場の人手不足、感染症対策などに大変役立つとして当社の素材は現場で既に活躍しています。

編集室 未来を担う従業員の皆さんの環境はいかがですか?

福田社長 従業員の皆さんが自分の特性に合った、よりハイレベルな仕事を経験して、夢とキャリアプランが実現できるようにします。そのための上司と部下のオープンな対話も大切にします。また現在は中国に2箇所、ベトナムに2箇所の拠点があり、海外での販売比率も高めていきます。地元丸亀の企業から海外にチャレンジできる環境にもなってきています。

編集室 丸亀市の企業であることも大切なポイントですか?

福田社長 当社の新入社員の約7割が香川県出身です。そして丸亀で世の中に役立つキーパーツを開発し、世界中に発信しています。私たちが作るものもまた「丸亀名物」とたくさんの方々に思っていただけると大変誇らしいです。

香川から、丸亀から世界に向けて人々の役に立つ素材を作り出し、送り出している大倉工業グループ。その活躍は技術の最先端まで及ぶことに驚きました。今後も注目していきたいですね。

丸亀発、すごいフィルム

フィルム、得意です

大倉工業は、実は「フィルムの会社」と言っても過言ではありません。69年前にポリエチレンの加工からスタートし、色々な製品を作ってきました。といっても、その形はいつも「フィルム」です。

冒頭のページ(2ページ)で、日用品や食品の包装フィルムや、よく伸び強い医療用フィルム、ディスプレイに使う光学フィルムなど、いろんな製品を紹介しました。実はこれ全部「すごいフィルム」なのです。

すごいフィルム、あれこれ

大倉工業新規材料事業部で作るのは、さまざまな役割と特徴をもったフィルムです。

例えば、絆創膏に使う「シルクロン®」というフィルム。よく伸びて蒸れにくく、剥がしても跡が残りにくい特徴があります。 実はこのシルクロン®、車の部品や衣服のプリントなど、医療以外の場面でも大活躍しています。

その他、特に力を入れているのが「光学フィルム」。これは、光を上手に操るフィルムです。

光学フィルムには何種類もあって、ここで説明すればするほどドツボにハマるので省略しましょう。

とにかく、みんなのテレビやスマホには、このフィルムが欠かせません。 例えば、テレビを斜めから見てもキレイに見えるのは光学フィルムのおかげ。電車の中でスマホを覗き見されないようにする効果も、同じフィルムの力です。液晶だって、光学フィルムがなければ画面に何も映らないのです。

すごい技術と匠たち

新規材料事業部の植田事業部長に、光学フィルムのお話をお聞きしました。

編集室 ここで作られているのはどんなフィルムですか?

植田事業部長 いろいろありますが、いちばん多いのは大型液晶ディスプレイ用の光学フィルムです。

編集室 御社では、すべてラインによる製造だと思います。私は「機械が製造する」と思っていましたが、特別なフィルムを作るために必要なものは、機械以外に何かありますか?

植田事業部長 やっぱり最後は「人」の目と経験が大切です。最新鋭の機械でも測れない微妙な変化を「目で見てわかる」「匂いを感じるように異変に気づく」、そんなベテランの技こそが最高のフィルムを生み出しています。

1枚のフィルムに詰め込まれた技術と経験。この業界、想像もしなかった世界です。

どんなフィルムを作っているの?

大倉工業は、フィルムを作るのが大得意な会社。技術開発にも長けていて、幅広くいろいろなフィルムを作っています。その製品は毎日どこかで必ず接しているはず!

どれくらい作っているの?

新規材料事業部(P4参照)で作っているフィルムを繋げると、地球1.3周分の長さ。ほんの1部だけでも地球1周(約40,000km)できてしまうんだから、大倉工業で作っているフィルムをぜーんぶ繋げたら月まで(384,400km)余裕で届くかも?

最近の推しアイテムを教えて

有名なものは残念なことに言えません。「あの○○の中に使ってんだゾ!」「みんな知ってるアレにも!」と言いたいのはやまやまですが、多くのフィルムは製品の一部で使っている「中間材料」。いわゆる企業秘密なのです。そこで自社製品をご紹介。

「防臭袋 NIOGUARD®(ニオガード)」

5層構造の特殊フィルム使用。強い防臭力が特長です。お出かけやペットライフ、介護など、何でも幅広く活躍します。丸亀市のふるさと納税返礼品にも選定されています。是非お試しを!

購入はこちらから

社員さん、どんな感じ?

社員さんはほとんど地元の人。丸亀・宇多津…46% その他…54%。産休・育休からの復帰率は100%!みんな元気に職場へ戻るそうです。もちろん、パパの育休も推奨!

部活動

マラソンクラブ…香川丸亀国際ハーフマラソンに、マラソンクラブとして10名弱が参加しました。

草野球チーム…大倉工業グループ内にたくさんのチームがあり、「瀬戸内カップ」という草野球大会を開催しています。他にもクラブ活動を会社が支援しています。

敷地内にはテニスコートがあるので、申請すればいつでもテニスが楽しめます!

地元貢献に力を入れています

四国家サポーターズクラブ会員

同クラブ主催の「ワクワク体験Kids王国in丸亀」では、新規材料事業部の光学フィルムを使った万華鏡づくり体験を出店しました。

主な協賛先
香川丸亀国際ハーフマラソン
丸亀お城まつり/まるがめ学生ボランティアアワード(寄付)
・丸亀市中学生弁論大会(寄付)
瀬戸内国際芸術祭
高松国際ピアノコンクール(寄付)
カマタマーレ讃岐
香川オリーブガイナーズ
香川ファイブアローズ
みとよサイクルロード(冠協賛)
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
大原美術館(岡山)

主な参加ボランティア(2024年)

大倉工業では「ボランティア特別休暇」(有給)あり。2024年は、350名弱(家族含む)がボランティアに参加しました。
●当社主催のごみZEROクエスト(冠協賛)※RSKのSDGsプロジェクトに賛同して開催
香川丸亀国際ハーフマラソン
一日一斉おもてなし遍路道ウォーク
ひろえば街が好きになる運動(毎月)
丸亀お城まつりボランティア(法人会・オイスカ)

大倉工業株式会社
• 設立/1947年7月11日
• 資本金/8,619,616,071円
• 本社/香川県丸亀市中津町1515番地
• 従業員数/単独 1,039名、連結 1,891名
• グループ会社/20社
すべて情報は2024年12月31日現在のものです。

沿革(年表)

• 1947年7月 四国住宅株式会社を設立 高松市において旧倉敷飛行機高松製作所の役員従業員の一部をもって住宅業を創業
• 1951年11月 商号を四国実業株式会社に変更
• 1955年11月 商号を大倉工業株式会社に変更
• 1962年1月 大阪証券取引所第二部市場に上場
• 1962年4月 本社工場(丸亀市中津町)操業開始
• 1962年12月 丸亀第二工場(昭和町)にてラワン合板の生産開始
• 1964年6月 丸亀第三工場(中津町)にて化粧合板工場操業開始
• 1967年10月 埼玉工場(東松山市柏崎)操業開始
• 1968年2月 詫間工場(詫間町)にて合板の生産開始
• 1970年5月 東京・大阪証券取引所第一部市場に上場
• 1971年3月 詫間工場にてパーティクルボード工場操業開始
• 1972年9月 本社を香川県丸亀市に移転
• 1977年5月 丸亀第四工場(蓬莱町)操業開始
• 1987年4月 新規材料事業部とホテル事業部新設
• 1992年1月 オークラ情報システム ユニオングラビア設立 丸亀第五工場(蓬莱町)操業開始
• 1995年1月 オークラパック香川設立 仲南工場(まんのう町)操業開始
• 1997年1月 オークラホテル丸亀 オークラホテル高松設立
• 2000年10月 新規材料事業部C棟(中津町)操業開始
• 2003年4月 オークラハウス設立
• 2005年8月 新規材料事業部D棟(丸亀市中津町)操業開始
• 2009年1月 オークラプレカットシステム設立
• 2014年1月 新規材料事業部G棟(まんのう町)操業開始
• 2023年5月 オークラベトナム設立
• 2024年2月 新規材料事業部H棟(まんのう町)操業開始

25th ANNIVERSARY OLS
オー・エル・エス有限会社が創立25周年を迎えました

私たちの暮らしに欠かせないスマートフォンやタブレット。その中で、きれいな映像を楽しむために大きな役割を果たしているのが「偏光フィルム」と呼ばれる材料です。 これは、スマホなどの画面をきれいに映すために欠かせないもので、例えるなら光の「サングラス」。画面の眩しさを抑え、色や明暗を調整し、映像を鮮明に見せる役割をしています。もしこのフィルムがなければ、眩しい光が反射して画面が見えづらくなってしまいます。 この偏光フィルムを作っているのが、大倉工業と同じ場所(丸亀市中津町)に工場を構える「オー・エル・エス有限会社」です。

同社は、2000年6月に住友化学株式会社と大倉工業株式会社の技術を結びつけて設立され、今年で創立25周年を迎えました。同社のフィルムは、世界中で使われるモバイル端末をはじめ、高画質な最新の有機ELディスプレイにも用いられ、映像の美しさを支えています。

インタビュー
大倉工業株式会社 相談役 髙濵 和則氏

なぜこれほどまでに素晴らしいフィルムを作り続けられるのか?オー・エル・エス創業時からの立役者である大倉工業の髙濵相談役にお聞きしました。

髙濵氏 今の時代、スマホなどの画面には、どんどん新しい技術や高い品質が求められます。お客様であるメーカーからの要望も、日々レベルアップしています。 時には、設備の能力を超える難しいお題も飛んできます。そんな時こそ、オー・エル・エスは本領を発揮します。普段から「品質に絶対妥協しない!」「お客様の課題を絶対に解決する!」という気持ちが社員全員にあるから、時には意見をぶつけ合い、人の力を最大限に引き出して、最後はみんなで「これだ!」とひとつになってものづくりをしてきました。優れた設備があるだけでは、最高の製品は作れません。社員一人ひとりの知識、経験、そして「世界最先端の製品を最高品質で作り続ける!」という熱い情熱があるからこそ、オー・エル・エスはこれからも成長し続けることができるのです。

この記事を書いた人

くす
くす
月刊マルータ発行人。未年、動物占い「頼られると嬉しいひつじ」。だが実際は頼りない。