2025.05.19 コラム 中津万象園賛助会員が語る「中津万象園のここが凄い、こう使いたい」

第3回:公益社団法人丸亀法人会女性部会会長 天野 裕子さん

――公益財団法人中津万象園保勝会の評議員を務められ、長年にわたり中津万象園の保存活用に寄与されている天野さんですが、当園とのそもそもの出会いはいつだったのでしょうか?

天野 一番古い記憶ですと、万象園の前オーナーさんの娘さんと同級生で、彼女から「立派な日本庭園を持っていて、そこには大きな傘松があってかくれんぼにちょうどいいのよ」という話を聞いたことですね。どんな素敵なお庭なんだろう、と子供心にワクワクしていました。

――実際に万象園に来られたのは?

天野 現在の富士建設さんがオーナーになり、丸亀美術館がオープンした時の「山下清展」を母と一緒に観に来ました。坂出から讃岐塩屋まで列車に乗り、母とふたりで万象園まで歩いた道中のことも含めて、とても素敵な思い出になっています。

――中津万象園との出会いは?

高岡 当初は丸亀での仕事がほとんど無い中で、JCやロータリークラブに入って人間関係を広げていき、少しずつ丸亀での仕事も増えていきました。その過程で現中津万象園保勝会理事長の眞鍋雅彦さんと知り合い、商工会議所の観光部会でともに活動する中で、中津万象園での活動を知り、賛助会にも入らせていただきました。眞鍋さんの叔父さんの奥さんが高校の同級生だったりと不思議なご縁もあり、長い間懇意にさせていただいています。万象園では、園内での催しのスナップ写真や、丸亀美術館で特別展をする際に作品写真を撮影していますね。

――その後の当園とのご関係は?

天野 天野商事株式会社の経営者として、丸亀市商工会議所女性部会部会長をはじめ様々な組織の役員を歴任してまいりましたが、そこで中津万象園の真鍋理事長と知り合いました。私にとっても思い入れのある庭園ですから、何らかの形でお手伝いできたら、と思い中津万象園保勝会の評議員に名を連ねることとなり、それから15年ほど経ちますでしょうか。

――現在は賛助会員として中津万象園を利用されてらっしゃいますが、天野さんから見た当園の魅力は?

天野 よくお手入れされた日本庭園は、一見の価値があります。丸亀市内でここまで管理されている観光地って、他に無いんじゃないでしょうか? 丸亀城も石垣は美しいですが、庭木までは管理が行き届いて無い気がします。私財を投じて管理を続けてらっしゃる富士建設さんには、本当に頭が下がる思いです。私が子供の頃、空想に胸を躍らせていた大傘松も、枯死の危機を乗り越え立派な枝振りを広げていて、いつ見ても感動しますよ。初めて見た時は、友達から聞いて想像していたものよりもスケールが大きくてびっくりしました(笑)

――天野さんをはじめ、根強いファンの方々に支えられて中津万象園は成り立っています。ありがとうございます。評議員として常にご提言されているとは思いますが、もっとこうすればいいのに、というご意見はおありでしょうか?

天野 私はどうしても経営者目線で考えてしまうことを前提に聞いていただきたいのですが、万象園は丸亀市指定の文化財なのですから、丸亀市に運営管理をしていただくのが一番いいと思います。金銭面でも、使い道をどうするか、というだけの話であって、市の財政はそんなに困っていないはず。市の文化財である以上、今の万象園で富士建設さんができることは限られていますので、お金儲けに舵を切る訳にもいかず、苦心されている様子をずっと拝見してまいりました。アミューズメントパークとして楽しめるような場所にしてはどうか、というようなご意見があるのは存じていますが、経営者としては本当にできる限りの手を尽くされていると思います。私自身、以前評議会の場で丸亀市の担当者に質問したこともありましたが、「公営化は民意が得られない」という回答で歯がゆい思いをしたことがあります。かつて金子香川県知事が栗林公園を県の文化サロンとしてデザインしたように、丸亀にも文化的な面で政治力を発揮してくれる方が登場してくれることを願っています。うちわミュージアムの万象園への移転がその契機となればいいなと思い、今後の丸亀市の動きには大いに期待しています。